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『ノーカントリー』 [洋画]

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監督:ジュエル&イーサン・コーエン
出演:トミー・リー・ジョーンズ ハビエル・バルデム ジョシュ・ブローリン ウディ・ハレルソン
 ケリー・マクドナルド

映画を見ているとたまに忘れたくても忘れられない、脳幹にこびりつくような「絶対的な悪役」ってのに出会うことがあると思う。
僕にとっては『セブン』のジョン・ドゥ(ケビン・スペイシー)、『レオン』のスタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)、最近なら『ダークナイト』のジョーカー(ヒース・レジャー)なんかがそれ。
みな圧倒的な冷酷さと狂気で主人公を凌ぐような存在感がありました。


でも、こいつは・・・・


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このハビエル・バルデムが演じるおかっぱの殺し屋アントン・シガーには殺しの全く理由がみえない。

他の映画ではなんとなくその悪の源泉みたいなものが想像できる。ジョン・ドゥなら屈折した使命感、ジョーカーはこの世のすべての者に対する憎しみといったように。でもシガーにはそれが無い。突然変異でDNAに刷り込まれているんじゃないかと思えるように、自然体の悪です。

最初の殺しのシーンは圧巻。
保安官が最後の瞬間を迎えるときシガーの顔がアップで映し出されます。手錠を使って絞殺するこのときだけシガーの表情に一瞬、快楽のようなものが見えた気がするが、それ以外ではまったく感情のようなものは見られない。

シガーは居酒屋にある生ビールのタンクにホースが付いたのようなものを持ち歩いています。ホースの先からは圧縮空気が出るようになっていて、それで人を殺したりもします。調べてみるとCaptive bolt pistolとかいうやつで、牛を屠殺する際につかう道具らしい。そんなもんで殺されたらたまらん。でも、マクドナルドで食ったQuarter Pounderの持ち主はみんなこいつでバチコンってやられてると思うと、なんとも哀愁の漂う武器です。

シガーの存在感がとび抜けているけどそれ以外の役者も一流やし、いい演技をしている。
トミー・リー・ジョーンズはもちろん、シガーに追われるジョシュ・ブローリンはかなりカッコいい。追われているんやけど、決して怯えることなく堂々と戦います。
シガーとも渡り合えるんでは?っと思わせるウディ・ハレルソンは登場時間は短いんやけど、さすがに個性が強い。調べてみると彼の親父は本当の殺し屋で2人も殺している。そりゃ普通の人とはちゃう。ウディ本人も警官殴ったり、マリファナ栽培したりで逮捕されてるみたいやけど、いまだに役者をできてるんやからアメリカ社会の懐の深さには驚きです。

でもやっぱりこの映画はシガーです。

まるで何十年も続けてきたルーティーンの仕事を淡々とこなすように人を殺していく。
そこには憎しみはもちろん狂気すらありません。

自然で純粋な「悪」。なぜか魅せられてしまった人なら何度でも見てしまう映画です。

僕は魅せられました。


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