『リリィシュシュのすべて』 [邦画]
2001年
監督・脚本:岩井俊二
出演:市原隼人 忍成修吾 蒼井優 伊藤歩
TUTAYAで旧作100yenセールやってたんで邦画の棚を見ていたら急に岩井俊二がみたくなって、「リリィ・シュシュのすべて」と「花とアリス」を借りてきました。
岩井俊二は「スワロウテイル」以来。もう十年ぶりかな?
そん時はツボにはまって「PiCNiC」「undo」「Love Letter」と立て続けに観たと思う。
「拝啓 藤井樹様・・・」で始まる「Love Letter」は今でも僕の中では最強のラブストーリーやし、賛否両論がある「スワロウテイル」にしても予算に限界があり、CGなんか使えなかった当時の邦画にしては十分エンターテイメントしてた。江口洋介の「クビキレ」シーンは今でも頭にこびりついてるし、殺し屋の渡部篤朗はめちゃくちゃカッコいい。そして曲がいい。
映画のテーマはそれぞれ違うけど、岩井俊二の映像からくる独特の雰囲気が好きやった。
『リリィ・シュシュのすべて』でも最大の特徴はその圧倒的な映像。
HD24Pというデジタルビデオカメラを日本で初めて使って撮影したらしい。
その効果かオープニングで雄一が地平線まで続く田圃の真中でウォークマンを聞いてるシーンから映像が異常にクリア。フィルムの質感とは明らかに違うんやけど、この映画ではそれがマイナスにならない。これはすごいことやと思う。「日本初」やのに・・・。
岩井俊二と撮影の篠田昇はこの映像を撮るためにかなり苦労をしたはず。
それ以降にHD24Pで撮影された映画が何本かWikiにリストアップされてたけど、「そういえば映像クリアやったな」程度の印象しかないから多分いまだに日本で一番美しいデジタルビデオカメラの映画とちゃうかな?
この映画には今ではドラマやCMに出まくっている市原隼人と蒼井優が中学生として出ているんやけど、存在感では忍成修吾と伊藤歩(これは頭剃ったからやけど・・)が上。蒼井優なんかは最初は気付かんかった。
ただ、後半にカイトを飛ばすシーンはめちゃかわいくて、こりゃ人気出るわと納得したけど。
岩井俊二はいい子役を探してくるのがうまいと思う。
「スワロウテイル」アゲハ役の伊藤歩はサントリーオールドのCMでまた好きになったし、「Love Letter」の両藤井樹(柏原 崇と酒井美紀)も良かった。それで蒼井優やし。
ん?どないやこの子って思ったんは「打ち上げ花火」の奥菜恵くらいか(確かにかわいかったけど・・)
クリアで美しい映像の中で才能ある子役たちが残酷すぎるリアルな中学生の世界を表現していく。
雄一が最後に中学生らしいと思われる時間を過ごした沖縄のシーンだけが画質の悪いハンディで撮影されて雰囲気が違っている。
たぶんもう星野にイジメられている雄一にとっては沖縄での時間は現実じゃないってことなんやろう。
新し物好きの岩井俊二らしく元はネットの掲示板を利用した形の小説だったらしい。(一般人も書き込みができる)
そやから映画中の書き込みも含めて、あっさりした映画を好む人やストーリーを重視する人には少しとっつきにくいかもしれへん。
それでもこの映画は映像を観るだけでも価値があると思う。
それも最低2回は見てほしい。
「フィリア」と「青猫」の書き込みが心に響くのも2回目やろから。
撮影監督の篠田昇はこの作品を
自分の代表作にしてくれと生前言っていたそうです。
本当に惜しい人を亡くしました。
by CORO (2009-03-28 23:26)
COROさん、nice&コメントありがとうございます。
篠田さんついて書かれたblogをみたんですが、映像への情熱が並じゃないですね。その情熱があの美しい映像を生んだのでしょう。
僕は篠田作品は家でしか観てないので、新作を映画館で観たかった。
残念です。
by 旗坊 (2009-03-30 01:04)